季刊誌残響

第七号/二〇二六年 夏/特集「残す仕事」

第六号 / 連載 編集室から

窓の外の工事

向かいのビルが解体されている。音の時間割に合わせて、校正の種類を並べ替えた二週間の記録。

透北窓 透2026年4月25日2分

四月から、向かいの雑居ビルの解体が始まった。朝八時ちょうどに重機が動き、十二時に止まる。十三時に再開し、十七時に終わる。

音の時間割

編集室では、騒音の枠に合わせて校正の種類を分けた。音読は昼休み。細かい表記の確認は朝一番。電話取材は十七時以降に回す。

窓を閉めると暑く、開けると埃が入る。折衷として、西側だけを開け、机を東へ寄せた。小さな引っ越しが、二週間続いている。

重機の止まる十二時に、編集室は急に広く感じる。音がなくなると、隣の部屋の話し声や、階段の足音が戻ってくる。静けさにも中身があると気づく。

始まりの日付は書いてある。終わりは「予定」とだけある。

工事のお知らせ

次号の景色

向かいの更地に、いずれ別の建物が立つ。残響の窓からの景色は、今号と次号で別物になる。誌面に工事の話を残すのは、その変化を記録するためだ。

解体の最終日、作業員が仮囲いの板を一枚ずつ外していった。埃の向こうに、これまで見えなかった通りの奥が現れる。編集室の西日は、少しだけ長くなった。

透

北窓 透

記者 / 金沢

街の記録を追う。取材の録音は文字に起こしたあと一晩置き、翌朝に修飾を落としてから送る。

関連する記事

同じ題を扱った号から