第六号 / 連載 編集室から
遠くの同僚と、同じ原稿
三つの都市に分かれた編集部が、同じ原稿を見る。会議を短くするために、書き方のほうを決めた。
沙紙屋 沙織2026年5月9日2分
残響の寄稿者は、東京、金沢、松山に分かれている。打ち合わせは夕方に固定し、三十分で切る。長い会議は、文を長くしない。
感想は書かない
共有されるのは原稿と、疑問の箇条書きだけだ。感想は書かない。直すべき箇所と、残すべき箇所を分けることが、遠隔の礼儀になっている。
金沢の北窓は、取材の録音を文字に起こしたあと、必ず一晩置く。翌朝に読むと、その場では必要に見えた修飾が落ちる。
疑問は番号を振って送る。答えは同じ番号で返す。往復の記録がそのまま残り、あとから入った人でも経緯を追える。会議録は作っていない。
正しさを増やすのではなく、読み手の位置を三つ用意している。
削った段落を送る
松山の紙屋は、締切の二日前に「削った段落」を別ファイルで送る。本編に戻すことは稀だが、編集側が判断するための予備になる。
予備の段落は、次号の別の記事で生きることがある。今号の余りが、次の号の書き出しになる。三都市に分かれていても、原稿は一本の線でつながっている。
同じ原稿を三人で見る。季刊の厚さは、その分だけ増えている。