季刊誌残響

第七号/二〇二六年 夏/特集「残す仕事」

第五号 / 連載 編集室から

校正記号を、手で覚える

赤の入れ方には決まった形がある。覚えてしまえば、直しの意図は言葉より早く伝わる。

結青野 結2026年2月28日2分

残響に入った人には、最初の一週間で校正記号を渡す。紙一枚に、よく使う二十ほどが並んでいる。覚えるというより、手が形を思い出すまで書く。

形が意図を運ぶ

トルツメ、イキ、行送り。同じ「消す」でも、詰めるのか、空けたままにするのかで記号が違う。言葉で書くと長い指示が、線一本で済む。

書き方にも作法がある。線は本文にかからない位置から引き、指示は余白の同じ側へ寄せる。赤が重なると、直す人はどちらが後の指示か判断できなくなる。

赤は、直す人へのお願いです。読めない赤は、お願いになっていない。

青野 結(編集長)

紙で回す理由

画面の校正でも同じ記号を使う。ただし残響では、最終の一巡だけは紙で回す。紙は全体が一度に見えるので、直しの偏りに気づきやすい。

紙の校正紙は、刷り上がったあとも半年は保管する。次の号で似た迷いが出たとき、前回どう決めたかを、赤の形が教えてくれる。

記号を覚えた人は、他人の赤も読めるようになる。編集の引き継ぎが、口頭の説明を必要としなくなる。

結

青野 結

編集長 / 東京

二〇二四年に残響を創刊。目次と奥付を持つ。西向きの窓のそばで、入稿前夜に順番を入れ替える。

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